ゆみしま日記

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zoom RSS ジルオールインフィニット SS 夢にみる(3)

<<   作成日時 : 2005/12/11 15:56   >>

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 「今でも夢にみる、故郷のことを・・・帰りたいと願う、ただそれだけ」

 あの言葉は・・。今ではわかる。あれは、ロストールに滅ぼされた国の
民の言った言葉だ。稀代の策略家エリス王妃は謀略で2カ国を滅ぼした。
そうだ、あれはもう存在しない故郷を想い、帰りたいと願う人々の望郷の
言葉だ。小さかった自分は、その言葉にどれほどつらい想いがこめられて
いるか、わからなかった。きっとあのままロストールにいたら、ずっと理解
できなかったかもしれない。だが、今ではわかる。
幼かったアイリーンは、ただロストールが2カ国を滅ぼしたと聞いて単純に
喜んだだけだ。大人たちは言っていた、ロストールは戦争も起こさず
平和を勝ち取った、と。ある者は王妃のエリスが女の身分ででしゃばって
王をないがしろにしている、と批判した。
色々と言いながらも勝利に喜ぶロストールの国民の陰で、故郷を失った
人たちは傷つき、かなわぬ望郷の願いを抱いていた。

 「私も帰りたい・・」ロストールへ帰りたい。だが、今さらそれはかなわぬ
願いだった。ロストール攻略の指揮を執った自分がどうして帰ることが
できようか?きっと母は周囲の冷たい目に耐えているに違いない。
私はディンガルを、カルラ様を守ろうとしただけだ。だが、その想いの
裏でロストールの人たちは傷つき、力尽きていった。
お互いの、仲間を守りたいなんて願いを両方かなえるなんて、人間には
不可能だ。なら、どうしたらいい?故郷にも帰れないなら、私はどこに
行ったらいいの?

 ここまで考えたとき、自分に近づいてくる気配があった。
「誰?」
アイリーンは顔をあげた。
そこには銀色がかった青い髪の少女の姿があった。
「エレンディル・・・」

「アイリーン、無事だったのね」
エレンディルは安心したように、そしてどこかためらいがちに
話し掛けてきた。

 
 そのあとのことはよく覚えていない。悩んでいたことをエレンディルに
ぶつけただけだ。いつものように、彼女の意見も何も考えず、
言いたいことを言っただけだ。
「守りたいもの同志が傷つけあって・・どうしたらいいの!?」
そんなことをエレンディルに言ったような気がする。
もちろんエレンディルに答えられるとは思っていない。
彼女も困った顔をし、無言だった。この問いへの答えは人間では
出せないのだ・・。たとえ無限のソウルを持つ者でも・・。

 「開け放つもの」
 小さいころに聞いたおとぎ話が頭に浮かんだ。自分の心と引き換えに
心を開け放ってくれる魔人の話。
それが一体どういうことなのか、はっきりとはわからない。そもそも
単なるおとぎ話にすぎないのかもしれない。本当にそんな魔人がいる
のかどうかも怪しい。だが、アイリーンには、もはや自分のこの苦悩を
救ってくれるのは、この魔人しかいないような気がしていた。
どうすればお互いを傷つけず大切なものを守れるのか。
どうしたら全ての人が幸福に暮らせるのか。
自分には何もできない。だが何もできないからと知らないふり、何も
気づかないふりをしてこれから生きていくことも出来そうになかった。
誰かに助けてほしかった。本当は魔人などではなく、無限のソウルを
持つものに助けてほしかった・・・。そんな願いがあったからかもしれない。
エレンディルに「開け放つもの」の話をして、アイリーンはリベルダムの
時計塔から走り去った。

 気が付くと、アイリーンはオズワルドの町へ向かっていた。最近連絡が
取れなくなったという町だ。どうやら噂では魔人に滅ぼされたとのことだった。
アイリーンはそれを聞いて、オズワルドに「開け放つもの」がいるのでは、と
思ったのだった。カルラ様にもなにも告げずにリベルダムを離れてしまった。
もう青竜軍には戻れないだろう。それどころか、生きて帰れるのかもわからない。
魔人が無償で人間のために何かしてくれるなど聞いたこともなかった。
彼らは人間の願いをかなえることもあるが代償を要求するという。
だが、それでもアイリーンは救いを求めていたのだ。
意を決して、アイリーンはオズワルドの町へ入って行った。


 そのころ、無限のソウルを持つ者、エレンディルは「名前を知るもの」
魔人ネモに「開け放つもの」の所在を確認していた。
オズワルドに「開け放つもの」、魔人ヴァシュタールはいるという。
エレンディルはオズワルドに向かう準備をした。あの時アイリーンと
戦わなかったせいでアイリーンは悩んでいたのか・・?はっきりとは
わからなかった。だからこそ、エレンディルはアイリーンに確かめてみる
ことにしたのだ。自分に何ができるかはわからない。ただ、ゼネテスが
言った言葉を思い出した。

 「目の前の人間を生かすのでも殺すのでもない、それを超えた第三の
選択・・。お前さんならそれができるかもしれん」

 そう、第三の選択をするために。

 (終わり)

その1へ戻る) (その2へ戻る)  (あとがきへ) 

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参考:アイリーンキャラ語りへ

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