ゆみしま日記

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zoom RSS ジルオール インフィニットSS 「炎」

<<   作成日時 : 2006/01/05 22:21   >>

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ジルオール インフィニットSS 「炎」

 炎が見える。記憶の中に残るのは炎。だけど不思議と熱くない。
どうしてかしら。幻だから・・・?あの冷たい炎の中に、
私と同じ姿の人がいつも見える。あれは私なのでしょうか。
だとしたら、あれは鏡・・・?でも、同じ姿なのに、炎の
中の人は、私とは全く違うように思えるのです。
炎は熱いもの。人には触れられぬもの。だから近づいては
いけない・・。そうシェムハザ様はおっしゃった。
他にシェムハザ様がおっしゃったことはたった三つ。
ここから出てはならない。
封印を守るのがそなたの使命。何があろうとも、
この奥に人を入れてはならない。
この使命を破ってはならない。

 私は今までこの教えを守り、使命を果たしてきた。
これからもずっと、そうしていくことでしょう。
私が存在する限り、ずっと・・・。

フレアが「思う」ことはこれくらいのものだ。
彼女が「思う」ことはシェムハザから与えられた情報と
命令に関してのものだけだ。
彼女は人造人間、人によって造られた。
闇の神器、「束縛の腕輪」の力を借りて。
その経緯は、ウルカーンの長老、コーンス族
シェムハザの日記に詳しい。少し見てみることにしよう。

 ウルカーンの町は今日も平和だ。この平和が末永く
続くように。ウルカーンに平安を。
フレアはいつもどおりだ。私の言いつけをよく守り、よく
使命を果たしている。見事なものだ。神でさえあのフレアが
偽者だなどと気付かないのだ。
まだ若いころの私が造ったものにしては、我ながらよく
出来ていると思う。やはり我々コーンス族の魔力の高さは
特筆すべきものだ。それに我々は、その魔力をどう使うべきか
知っている。人間のように破壊と暴力に使うのではなく、
エルフのように永遠の生命を持つがゆえに全てに緩慢に
なるのでもなく。闇の神器も賢い者が持てば素晴らしい力を
発揮できるのだ。人間には到底無理だろうが。
しかし我らコーンス族は出すぎた真似はしない。それが少数民族
たる我らの生き残る道なのだ。これは他の種族には理解できぬこと
であろう。

フレアだが、惜しむらくは、やはり感情を持たないことだ。
姿かたちの再現は完璧といえるだろう。しかし人間の感情を
持たせることはできなかった。それができればどんなにいいか。
そうすれば、あのころのフレアを完全に取り戻せるのに。
しかしフレアの感情を与えられたとしても、結局は同じ結末に
なるのだろうか。私がフレアに愛を打ち明けても、フレアは私を拒み、
私はフレアを殺す。また同じことだ。ただ繰り返されるだけだ。
2度も彼女に拒まれるのなら、このままのほうがどんなにいいか。

今のフレアは従順で私に忠実だ。人形なのだから当然だが。
何せ今のフレアは自分がなぜここにいるか、なぜ自分が知っている
「生き物」が私一人しかいないのか、外がどうなっているかなどと
いう疑問は持つことすらないのだから。
何も疑問を持たず、使命を忠実に果たす。
巫女としてこれほど完璧な存在があるだろうか。
ラドラスの4人の巫女の中でも、今のフレアが最も巫女らしい
かもしれない。
人造人間がラドラス4人の巫女の最高峰とは、皮肉なものだ。
所詮、巫女など人間には務まらないのかもしれない。
自分の願望や意思を押し殺して、ひたすら自分の使命を果たすために
生きる。自分の犠牲のうえに成り立っているのだろう。残酷なことだ。
逆に、よくぞあの弱い人間たちに務まるものだと感心してしまう。
フレアの状態だが、油断はできない。あれは世界に唯一の存在だ。
今日、明日何が起こるか、創造者たる私にさえわからないのだ。
何も前例はない。これからもないだろう。
それにいつ外部からの人間が好奇心にかられて神殿に踏み込まない
とも限らない。フレアの監視と状態の把握は怠りなく行わねば
ならない。

 最近心配になるのは、今後のことだ。私も年老いてきた。
人間に比べれば長命とはいえ、エルフのように無限に生きられる
わけではない。私がこの世を去ったあと、フレアはどうなるのだ?
フレアは生きるのに食事が必要なわけではない。赤子にするような
世話が必要なのでもない。ただ一つ、束縛の腕輪が必要なのだ。
だが、私亡きあと、誰が束縛の腕輪を管理するのか?
管理出来る者は限られている。それに、フレアが人造人間などと
いう事実が明るみになればどうなる?
許されない存在として抹消されるのか?
私が本物のフレアを殺したことも皆が知るところとなるだろう。
ウルカーンの長老としての私の名誉も終わりだ。しかし、もう
この世にいない私には名誉など関係ないことだ。
しかし神の封印は・・あれだけは何としても守らねばならぬ。
どうすればよいのか・・。


 以上はシェムハザの日記である。非常に身勝手だが、彼は彼なりに
世界の行く末の心配をしていたのかもしれない。そして、フレアを
保護し、世界を破滅から救ってくれる英雄を無意識に待ち望んで
いたのかもしれない。無限の魂の導き次第では、シェムハザの
願いはかなえられることとなる。束縛の腕輪を手に入れた無限の魂が
フレアを救ってくれることもあるのだ。

 だが、シェムハザはそれを知ることはない・・・。


 炎。記憶の中の炎とその中の人。あれはなんなのでしょう・・。

 人により造られし悲しき者よ、その魂に平安のあらんことを。

 終わり

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