ゆみしま日記

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zoom RSS ブックレビュー「火星年代記」レイ・ブラッドベリ

<<   作成日時 : 2006/10/31 23:53   >>

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 久々のブックレビュー。「火星年代記」は古典SFとしてよく名が
上がります。これをSFと呼べるかどうかはちょっと迷うところ
ですが、ゆるSFファンの私としては分類にはこだわらず紹介。
(注:ネタバレあり)

 レイ・ブラッドベリはそもそもSFというには叙情性ゆたかな
作品が多いのが特徴です。といっても、私が読んだのはこの
「火星年代記」と読みかけの「塵よりよみがえり」だけなので、
えらそうなことは言えませんが(^^;)。
火星年代記は、連作短編の形式をとっており、火星を舞台にした
たくさんの短編から構成されています。どうも最近長編を読み通す
のが苦手になってきた私は、連作短編の形式が読みやすくて
気に入ってます。50年代に書かれていますので、全てにおいて
古さは否めません。
一昔前の「宇宙探検もの」「宇宙開拓もの」といったほうがいいでしょう。

まさに「タコのような宇宙人」が似合う、そんなレトロな雰囲気のなか、
物語は進行していきます。
ハードSFやスタイリッシュな現代SFを求める人には不向きだと思います。
古典と割り切って読むか、SFと思わずに読んだほうがずっとよい評価を
得られるんじゃないかと思ってます。一般的な評価は高いようですが。
また、舞台は火星となっているものの、実際は古きよきアメリカをイメージ
して描かれており、50年代アメリカのパラレルワールドが舞台といっても
いいかも。人物描写も、アメリカのファミリードラマみたいですしねえ・・。
私のようなゆるいSFファンや、異世界ファンタジーものが好きな人には
いいと思います。叙情性たっぷりですが、一方で結構後味の悪いブラックな
展開を見せる話もありますし。50〜60年代に希望を込めて予想されていた
「輝ける未来」が現実とならなかった今、それを懐古する意味でも
「団塊の世代(私はこの言葉が好きではないですが。それに団塊の
世代でもないです)」にも意外とおすすめ。

 なにやら厳しめに書きましたが、私個人は気に入ってます。レトロな
雰囲気、垣間見える人間の残酷さと優しさ、機械社会の恐ろしさ(この辺は
まさに時代を感じさせる描写・・)、終末感漂う世界、故郷・地球への想い。
切なさと叙情性を感じさせる筆致が好みです。
ラストの辺りは、いかにも昔の未来もの、な展開でちょっと食傷気味です。
ラスト付近が評価が高いみたいですが、中盤のほうが面白いアイディアが
詰め込まれていて楽しいと思います。特に好きなのが、ほとんど住人が
いなくなった町の中で、つながる電話を求めて電話をかけまくる男の話
(「沈黙の町」)。自分以外に人間がいなくなったら・・・。ゴーストタウンを
さまよう自分。ある意味自由で解放された世界。世界で自分ひとり
取り残されたという設定って、恐いけれど興味があるんです。

 昔映画化(テレビ映画?)されたことがあるようですが、全部を映像化
するのは難しいと思います。内容が余りにも多岐にわたるし、登場人物も
多い。それより、一つの話だけを切り取って膨らませたら面白いと
思うのですが。上で挙げた取り残された男の話も、別に舞台が火星で
なくてもよい内容なので、現代日本を舞台にテレビドラマ化しても
よいんじゃないかと。
(え、よくない?ドラマ見ない人間が勝手言ってすみません)

人間の中に混じって一緒に働くロボット、全ての家事をこなしてくれる
便利な機械、空中を飛ぶ車、宇宙旅行はちょっと頑張れば手が届く・・。
しつこいですけど生まれていないので想像ですが、多分50〜60年代に
想像された「21世紀」はこんな感じだったんじゃないかと思います。
実際は全く違う未来を迎えた現在、ノスタルジーに浸ってみるのも
いいかもしれません。少し不思議な話が好きな人に、昔子供だった大人に。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ブラッドベリ作品といえば、短編の「やさしく雨ぞ降りしきる」という作品が旧ソ連の作家の手でアニメーション(タイトルは「雨はやさしく・・」)になっています。核爆弾で破壊された後の街、破壊された一軒の家の中の様子を描いています。すごい想像力ですね。11分の短いアニメですが、中身の濃い作品です。
別にSF大好きではないのですが、映画ファンの一人として書き込みました。
くるめいわし
2006/11/07 14:41
くるめいわしさん、コメントありがとう
ございます。
旧ソ連の作家による、というだけで興味を
そそられます。見るのが難しそうですが、
機会があればぜひ。旧ソ連・東欧系の
作品は思索的・観念的なイメージがあり
ますが、SFやファンタジーを描くのに
向いているのかも、と思ったりします。
ゆみしま
2006/11/08 00:07

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